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アート志向の私が販売で四天王!?そこから目指す仕事に就けるまで -法務コンプラ担当・石井の自己紹介

みなさんこんにちは!法務コンプライアンスチームの石井です。
2021年11月に入社し1年半余りが経過しました。今年に入ってから、ありがたいことにチームにお二方の心強い仲間を迎え、充実した毎日を過ごさせていただいています。

法務・コンプライアンスチーム!

法務は専門職であるせいか、時々「初めから法務なんですか?」とお問合せいただくのですが、実は私のバックグラウンドは比較的遠回りです。そこで今日は、私が今の仕事に辿り着くまでの道のりを、少しご紹介させていただこうと思います。

得意科目はロジックとは程遠い!? 私の好きなこと

だいぶ遡りますが、私が学生の頃一番得意だったのは美術でした。その次が体育。
頭の中のイメージを表現することに集中する作業が好きで、絵も彫刻も版画も、アートは何でも大好きです。学校指定のジャージのロゴをデザインしたこともあります。ときどき変わった服装で社内をうろうろしていたら「あぁ、表現したい欲が抑えられないのだろうな」と、温かい目で見守っていただけたら嬉しいです。
また、「1日休んだら取り戻すのに3日、2日休んだら1週間かかる」と言われるストイックな陸上部で、文字通り雨の日も風の日も走っていました(陸上の試合は台風でも決行されます!)。
社会人になってから出会った方達には運動しなそうだと思われることが多いのですが、昔の友人からはほぼ決まって、「まだ走ってるの?」と聞かれます。走ることをやめたらアイデンティティが崩壊するのではないかと心配していましたがそんなことはなく、気が向いた時だけ走る今でもお蔭様で無事に生きています(笑)

企業対抗駅伝での1コマ

ただ、好きなだけで仕事にできるかというと別問題で、時代によって価値観が変わる中、主観で評価されるアートの世界で生きていく勇気はありませんでしたし、スポーツも突出した才能を持ってはいませんでした。
それなら、どちらも趣味にとどめておくのがちょうど良いなと思い、努力が認められやすそうな道を選びました。しかし法律の道に進むことで大量の本を読まねばならないことは想像できていませんでした。。

ここまでで、賢明なみなさまはお気付きかもしれませんが、もともと私の得意分野はロジックとは縁遠いのです。ですから、論理的な思考が必須となる法務の世界へ真っ直ぐ進んで来られなかったのも必然で、この仕事に腰を据えるまでには紆余曲折がありました。

ちょっと真面目に、日本の法務部の実情

ところで、実は日本の多くの会社にはまだ法務部がありません。法務担当者がいる会社でも、一部の大手企業等を除けばごく少人数の組織であり、いわゆる一人法務も珍しくありません。例えば、現在ある企業でアジア各国の法務を統括している大先輩のお話によれば、その方のキャリアは、日本を代表する大手電機メーカーの中で、その昔、「総務部庶務課法務係」として始まったそうです。そのような歴史から、法務の存在や必要性を徐々に認知いただけるようになってきたとはいえ、「法律を勉強しました」というだけでは、通常は法務に配属してもらえません。
多くの企業には法務人材を育成するほどの余裕がなく、自走できる即戦力が必要とされるからです。私自身、初めて就職しようとしたときに法務職は経験者の求人しかなく、誰もが未経験から始めるはずなのに、どうやってこの「経験者」になればよいのかと本当に悩みました。

私のキャリアの始まり〜ロジックって何だろう?〜

話を少し戻しますと、本格的に就職する前、ロースクールを卒業して国家試験にチャレンジしていた時期がありました。専業受験生といって試験に専念して結果を出す方も多いのですが、ものにならなかったときに、年齢だけを重ねて就職先を探すことは非常に困難であるのも現実です。そこで私は、まずは会社というものの全容を知ろうと思い、小さな保険会社で働くことにしました。そこでは、電話での営業に始まり、保険証券の発行や保険金支払の査定も行い、たまたま合併や増資もすることになったため、当局への届出書類を作成する機会も得ました。もちろん法務部はありませんでしたが、一応法律の心得があるということで任せていただいたのです。

しかしその頃の私は、そもそも論理というものが分かっていませんでした。法律の世界には法的三段論法なるものがあり、これが法的な説明をするためのセオリーなのですが、まるでしっくりきていませんでした。感性と根性論にどっぷり浸かっていた私の思考回路は、全くロジカルではなかったのです。その上、受験科目にない初見の法律を読んで解釈するという工程は、実務経験のない私には難易度の高いものでした。
ところが、とにかく当局を説得しなければと必死に起案してみると、なんと自然と法的三段論法になっていたのです。自分でも本当に驚きました。当局からは少々やんちゃな存在と見られていた会社でしたが、この一件で当局の納得も得ることができ、実務での法律の使い方について初めてコツを掴んだ瞬間でした。

週7勤務!?ごりごり営業やってました。果たして法務への道は・・

同じ頃、週末には家電量販店でメーカー販売員としても働いていました。この仕事には、学生の頃から通算9年ほど携わっていたのですが、競争環境に置かれると闘争本能に火がついてしまうところがあり、熾烈なシェア争いを繰り広げていました。店頭には他メーカーのスタッフもおり、お互いのトークに聞き耳を立てているため、他社製品の説明を誤れば一触即発のトラブルの元になります。正確に、他社の魅力もしっかりご案内しつつ、それでも営業ですから、最後は自分のところの商品を買っていただけるよう上手く話を運ばねばなりません。

初めは、これほど向かない仕事があるだろうかと思うほど下手で、忘れもしない初日は自力では1台も売れませんでした。しかしその後、あまりの不甲斐なさに奮起し、売れる人の仕事を観察したり、他社商材も研究したり工夫するうちに、気付けば強豪店に投入されるようになり、新人の育成もし、商戦期には新幹線で出張するまでになっていました。

展示会でも営業していました

営業職の方にとって当然のことを声高に述べるのもお恥ずかしい限りですが、この仕事においては、お客様のニーズをいち早く把握して的確な商品を提案し、その方に刺さるトークを展開して購買意欲を喚起するという販売力は勿論のこと、店舗や他メーカーと良好な関係を築く力も重要となります。自身が不在の平日の売上や、より良い売場スペースの獲得に繋げるためです。
実はこの法務と無関係とも思われる仕事を通じて、論理的に話を組み立てるという思考がとても鍛えられました。短時間で人が納得するのは話の筋が通っているということなのだと気付き、肚に落ちた場面は印象深く覚えています。

営業の極意を会得、エリア1位からの四天王(ますます遠ざかる法務)

ところで、私の所属先には当時「四天王」と呼ばれる、驚異的に売れる先輩方がいました。某TVショッピングのように何人も同時接客したり、たった5分で高額商品を販売したり、とても一人では販売できないような並外れた実績をコンスタントに上げてくる、その界隈では有名な方々です。もはや特殊能力のようで雲の上の存在だなぁと思いつつ、四天王という呼称にどことなく揶揄されたような響きを感じ、ありがたい称号なのだろうかと、失礼ながら懐疑的に思っていました。
が、あるとき会議の席上で、どこからか「石井は四天王」という声が…。他人事だと思っていたにもかかわらず、いつの間にか自分が四天王に数えられるという珍事に、思わずその方向を二度見しました。この間、法的知識の向上よりも営業トークに磨きがかかったであろうことは言うまでもありません。

どうにかして本流に戻らねば…(焦)

こうしてついに受験生活を終えた私は、なんとか法務の道に進むべく、保険会社でのちょっとした法務経験と、おそらく一般的な受験生が持ち合わせていないと思われる営業経験が武器になると信じて別の保険会社の門を叩き、総務と法務の兼務から始めました。慶弔時のお花や電報の手配、営業車両のリースや保険、駐車場の管理など様々な総務業務を行う傍ら、契約書のレビューや株主総会対応、紛争事案に従事し、少しずつ法務領域を広げてゆきました。
やがて法務コンプラの専任となり、インハウスの弁護士さんと一緒にIPOの直前期・申請期の規程整備や株式転換、従業員持株会の設立や資金調達のほか、反社チェックシステムの構築など、目まぐるしいベンチャー企業ならではの多くの経験をさせていただきました。
また次のステップでは、ブランドライセンスや、他社のリブランディング、マーケティングをお手伝いするファッションコンサルを主軸とする会社の法務を担当しました。ファッションショーも運営する感性豊かな方々の中で刺激を受けつつ、もともとロジカルでなかった自分だからこそ、そうした方々の中で契約や規制についてお話するための工夫ができたかなと感じています。経理と法務の連携の重要性もここで学びました。

振り返ると意外と無駄ではなかった回り道

このように、一見法務に役立つの?という経験をベースにビザスクの法務コンプラチームに加わってから今日まで、幸いなことに想像以上に過去のあらゆる経験を活かすことができていると感じています。
様々な業界のお客様からのご要望に応えるために知恵を絞り、ハイペースで新たなサービスが生まれる環境は、決して飽きることがありませんし、部門を超えて多くの方々と接点を持つことができるのも、この仕事の魅力のひとつだと思います。
遠回りをした私ですが、その分目指してきた仕事に従事できる感慨もひとしおです。きっと様々なバックグラウンドの方が活躍できるチームですので、我こそはと思う方には、ぜひチャレンジしていただきたいですね!

普段は裏方の仕事ですが、担当案件が実を結び、お客様の満足のお声とともに事例として広くご紹介いただけるとき、研修が役に立ったとフィードバックをいただけるとき、私たちは大きな喜びを感じています。いつも最前線で尽力されている方々の思いを忘れることなく、共にビジネスの成長を支える一員としてビザスクの発展に貢献できる、強いチームになって行きたいと思います。

ともに会社を支えるファイナンス・IT・コーポレートのみなさんと