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バックオフィスの私たちがシンガポールに現地法人を設立するまで

こんにちは!編集担当の大瀧です。2020年4月にシンガポール拠点が子会社化され早4ヶ月が経とうとしています。子会社化は皆さんご存知だと思いますが、実はその裏で拠点設立と現地法人化の準備を着々と進められていたお二方の活躍を知っている方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回、コーポレートGの原さんと内田さんに当時の裏話を聞いてきました!僕自身、知らないことだらけだったので、メンバーの皆さんはもちろん、これから海外現地法人設立を視野に入れている社外の方にも参考になるかと思います!(本当に学びが多かったです)

原(け)さん:トップ写真右
コーポレートグループ所属。シンガポール拠点開設にあたっては拠点開設等、総務面の実務を担当。シンガポールにはまだ行ったことありません。
内田さん:トップ写真左
コーポレートグループ所属。経理担当。シンガポール拠点開設の際は主に設立後の経理業務フローの策定を担当。シンガポールにはまだ行ったこt...

なぜ海外法人を設立することになったのか

原:皆さんご存知の通り、今年の4月1日にシンガポールに初の海外法人「VISASQ SINGAPORE PTE.LTD.」を設立しました。
詳細は以下、プレスリリースやメディアの記事をご覧いただけたらと思いますが、簡単に。
サービス開始から6年が経ち、国内基盤の成長と海外知見へのニーズの高まりを受け、東南アジア地域を中心とした更に多様な国籍のアドバイザー獲得や現地拠点とのスムーズなマッチングオペレーションの構築、および海外クライアントへの認知拡大を進め、当社海外事業「VQ」の成長をさらに拡大すべく現地法人を設立しました。

海外法人の設立に向けて

原:具体的にアクションを起こし始めたのは2019年の夏ごろからですね。(会社としてはもっと前から動いていたと思いますが…)とはいえ、右も左も分からない状態からだったので、有識者に協力を仰ぐことから始めました。具体的にはシンガポール現地の会計事務所や、海外進出の相談に(無料で!)乗っていただけるJETRO(日本貿易振興機構)さんです。

内:まず、複数の会計事務所にお話を聞いたところ、シンガポールに進出する日本企業が多いこともあり、最初から進出パッケージというものが用意されていることがわかりました。相談するうちに、設立までの具体的な流れや総務面や会計面における各規制などのイメージを掴むことができました。
JETROさんもシンガポールに駐在経験のある方がまとめた、大変分かりやすい「シンガポール進出マニュアル」を用意されており、具体的なイメージが湧いてきました。

どんな拠点形態を取るか

原:実は、シンガポールに拠点を開設するにあたり、まず最初に考えなくてはいけないことがありました。どの形態で拠点を開設するか?ということです。この拠点形態には具体的に3つの形態があります。

①現地法人
〇:決算を単体で完結できるので楽!
○:決算時期も自由に設定可能!
○:銀行口座が開設しやすい!
✕:登記や決済は2国間でやり取りが発生するので煩雑!監査も別途必要!
②支店
〇:シンガポールの赤字を日本で損金算入できる!
✕:シンガポールで本店(日本法人)の決算開示が必要!
✕:月次決算の日程が日本と連携されるため締め切りがタイト!
✕:銀行口座が開設しにくい!
③駐在員事務所
〇:決算や監査、税務申告等が不要!
✕:営業活動が限られる。
✕:設立の際にもととなる日本法人の要件がある
 (設立後3年以上経過、売上高SGD250,000以上など)

結論として当時はIPO審査との兼ね合いもあり、まずは駐在員事務所を作り、のちに現地法人へ移行という方針になりました。

現地会計事務所の選定

原:拠点開設の形態を考えるのと同時に、現地での手続き等をサポートしてくれる現地の会計事務所の選定も行いました。今回、私たちはEJ Consultancy Services Singapore(以降EJC)という会計事務所に依頼し、いろいろな相談に乗っていただきました。

内:この「いろいろ」の範囲が実に広かったですよね…。設立登記の準備に始まり、銀行口座の開設に伴う現地の銀行とのやりとり、現地で働くメンバーのビザの手続、給与計算、本社への会計報告書の作成、日々の会計処理オペレーションのご相談などなど… EJCさんには足を向けて寝られない程お世話になりましたね。

いざ、現地法人設立へ

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原:皆さんは法人(またはそれに近いもの、駐在員事務所など)を設立すると聞いて、どんな手続きをイメージしますか?日本の場合はだいたい以下のような手続きが必要です。

1.基本事項の決定
2.定款作成
3.資本金の払込み
4.登記書類作成
5.登記申請
6.登記後の各種行政などへの手続き

社名を決めて、代表印を作って、定款を作って公証役場へ行き…などなど、いろいろありまして、日本だと早くても2~3週間はかかるようです。

シンガポールの場合も原則は同じなんですが、必要な書類さえそろえてしまえばなんと1日(!?)で設立できます。具体的には以下の情報を準備します。

1.社名(設立前に予約)
2.事業目的(数ある選択肢の中から相応しいものを選択)
3.資本金・株主構成・最終株主・取締役
4.秘書役(現地で、取締役会のアレンジなどを遂行してくれる人)

「2.の事業目的」に関して、VISASQ SINGAPORE PTE.LTD.は

「OTHER INFORMATION SERVICE ACTIVITIES N.E.C. (63909)」
「EXECUTIVE SEARCH SERVICES(78105)」

の2つを選びました。

上記の情報をお伝えすれば、会社にとってとても大事な定款作成等も含めて現地の会計事務所がサポートをしてくれるのです!今回はまさしく法人設立のタイミングでcovid-19の影響もあり、シンガポールに赴くことは物理的に不可能だったのですが、そもそも現地に赴く必要すらありませんでした。(個人的には密かに海外出張を期待していたのに…)

その後、もろもろの情報をもとにACRA(Accounting and Corporate Regulatory Authority:シンガポールの法務局のようなもの)に届け出をし、受理、承認されれば晴れて法人設立です。お疲れ様でした!

ちなみに上記は法人設立の場合ですが、前述した駐在員事務所の場合はもうちょっと書類が必要です。そう、なぜか法人設立のほうがハードル低いのです。
基本情報は言わずもがなですが、進出するもととなる法人(VisasQ Inc.)の以下の書類が必要になります。

1.貸借対照表(英語)
2.損益計算書(英語)
3.監査報告書(英語)
4.登記簿謄本(英語・要翻訳証明)
5.その他(駐在員の旅券や会社案内資料など)

時間があれば、そこまで準備するのに難しい資料ではありません。
が、私たちの場合はタイムラインがぎりぎりだったので、翻訳証明付きの翻訳に対応していただけるところを探すのに奔走しました…

現地法人設立は簡単。だけど…

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内:これで法人設立自体は完了ですが、実際の運用にはもろもろの決まりを作る必要があります。ここは各社によって考え方が異なると思いますが、最低でも下記のことは事前に決めていました。

1.現地でサービスを展開する上での本社と現地法人間での決まり事
2.労務面の決まり事
  :現地採用の雇用契約、出向者の取り決めなど
3.情報システム関連の決まり事
  :PCは日本で買う?シンガポールで買う?など
4.総務面の決まり事
  :オフィスはどうする?規程どうする?など
5.資金管理に関する決まり事
  :お金のやり取りはどうやって行う?口座の管理はどうする?など
6.法務面の決まり事
  :現地顧客との契約は?アドバイザーの利用規約はどうする?など
7.会計・税務の決まり事
  :決算どうする?税金とかどうする?など

それぞれの詳細は割愛しますが、日本での組織運営をもとにリスト化(通称:対応しないと○ぬリスト)して優先事項の取捨選択を行っています。

特に会計・税務面では海外子会社を新設するにあたり、東京本社とシンガポール間の適正な利益配分を決める移転価格税制、PE(Permanent Establishment)リスク対応の検討に始まり、連結会計のための会計報告書(レポーティングパッケージ)作成、日々の会計業務やお金の流れのオペレーションの整理など、検討事項は多岐に渡っていました。

また、シンガポールでは法人設立後に法人銀行口座の開設を進めるのですが、covid-19の影響もあり現地ではかなり厳重なロックダウン措置がとられていまして。書類のやりとりに予想以上に時間がかかり口座開設にとても時間がかかった経緯があります…

その他にも整備が必要なことは多々ありますが、事業も回っていて連結の決算も対応できているので、最低限の制度は整備できました。

現地法人設立を終えて

原・内:前述したとおり、現在でも最低限の運用は行えています。とはいえ、まだまだ整備すべきことは山のようにあります
社内規程類も必要十分なものに限定していますし、来年の2月には連結として初めての本決算が控えています。もちろん事業としても海外事業はまだまだ成長段階にあります。

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バックオフィスを担う者として、事業の成長を最大限にサポートしつつ、とはいえ事故を行さないような管理体制を作り上げていくことが永遠の命題(テーゼ)であると思っています。

これからも私たちは縁の下の力持ちとしてビザスクの成長を全速力で支え続けていきます!!


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