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意外なキャリア経験が「今」につながる。橋渡しになる仕事を求めて、理工系出版社からビザスクへ

こんにちは!PF事業部 S1チームの植田朝美です。
普段は主にプロフェッショナルファームのクライアントに対して、求める知見を持つアドバイザーとのインタビューをマッチングするためのリサーチ業務をしています。

今回は、理系出身の私がなぜ新卒でエンジニアにならない選択をしたのか、そして今ビザスクでどのような仕事をしているかを紹介したいと思います。
最近では学際的な取り組みが増えてきていて、「理系/文系」のような分類はもうナンセンスかもしれませんね。

大学院卒業後、理工系出版社の編集者に!

私は大学院で制御工学を勉強していました。ロボットがどうやって自律的に動くか、どうやって安定的にプラントを運転するかといった仕組みを設計するような学問だと思っていただければイメージしやすいかもしれません。
実際の制御対象は様々で、私の研究では、電力市場という仕組みを使って電力需要者をどのようにコントロールするかという問題を扱っていました。ただ研究生活の傍らで制御以外のことにも興味があり、数学や営業戦略、メソポタミア占星術など、他学科の授業をいろいろと受けていました。

そんなわけで私はあまり専門の勉強に一生懸命でなかったため、就職活動中、周りのみんなと同じようなエンジニアになるイメージが持てずにいました。そもそも、大学で勉強したことをまっすぐ活かす仕事につかなければならないわけではなく、大学は大学で好きなことを学び、仕事は仕事で考えればいいや、と思っていました。
そんなとき、理工系の出版社という仕事を知りました。様々な理工書(大学の教科書やエンジニア向けの書籍)を作る仕事です。もともと予備校のテキスト作成のアルバイトをしていたこともあり、文理両道のようなこの職業は、制御以外にも興味の幅が広かった私にぴったりだと思いました。

出版社時代の写真

出版社に就職してからは、専門の制御に限らず、数学や半導体、計測など、いろいろな分野の書籍の編集に携わりました。
原稿を作るのは大学の先生で、彼らはご専門分野についてはとても詳しい一方で、初めて勉強する人にとっては難しすぎる表現になっていることもあります。そこが編集者の腕の見せどころ。教科書であれば講義で使いやすいように、専門書であれば目的に合わせて参照しやすいように、読者を意識した改善提案を行います。
自分(編集者)の専門外の内容が書かれている原稿にコメントを入れることは非常に難しくて緊張しますが、著者の先生に初学者の視点を届けるべく、丁寧に読み込んで校正をしていました。

※企画から携わり最も印象に残っている一冊がこちら

また、年に2回は大学出張の機会があり、担当地方に赴いて1週間で100人もの先生とお会いして、企画の発掘や教科書採用の営業に奔走しました。出張で見つけた企画を初めて発行まで持っていくことができた経験は、出版社時代の最も印象深い出来事です。
先生の専門性と読者ニーズのバランスを取った企画、高度な内容の原稿への校正、組版所や印刷所との調整、帯の宣伝コピーの作成とデザイナーへの発注など……基本的に一人で1冊を担当するので、書籍をゼロから最後まで作る流れに携わることができ、正直かなり大変でしたが、担当した書籍が発行された時には並々ならぬ達成感がありました。

ビザスクに入社したあと、井本さんが私が関わった書籍をお持ちで驚きました!

ビザスクに入社したきっかけ

そんなこんなで出版社では楽しく3年ほど勤務していたのですが、コロナが流行し始めて大学出張に行けなくなった頃から、「先生方との接点の持ち方を考え直す必要があるけど、そもそもこのままこの仕事を続けるんだろうか?」ということを考え始めました。
また、出版業界はどうしても流れがゆっくりなところがあり、書籍の企画から発行までは2年以上かかるケースも多くあります。せっかくならもう少しスピード感がある環境に身を置きたいとも思うようになったことをきっかけに、このタイミングで自分のキャリアを見つめ直して、スピード感のあるベンチャー企業で新しいチャレンジをすることに決めました。

私はもともと「何か困っている人は、それを解決する技術にたどり着けていないケースが多いのではないか。それをつなぐような仕事をしたい」と漠然と考えていました。
大学で工学を勉強してきたバックグラウンドを生かして、何かに困っている人と、それを解決する技術や知見の橋渡しをする仕事が自分に向いていると思っていたのです。前職で携わっていた書籍制作は、橋渡しの一つの形でした。しかし現実にはどうしても著者サイドとのやり取りのほうが多く、なかなか読者側に直接触れる機会がないことに物足りなさを感じていました。
橋渡しをする両端の方と関われるような仕事がほかにないかと転職エージェントに相談しても「ない」と一蹴されていた頃に、ビザスクからのスカウトをもらって、これだ!と思いました
ビザスクの「知見と挑戦をつなぐ」を目にしたとき、ああ、これは私がやりたかったことをより一般化した事業なんだ、ピンときました。

さらに、アドバイザー・クライアント双方をつなぐプラットフォームであるというところにも魅力を感じました。これまで技術的な観点にこだわっていた部分がありましたが、工学にとらわれずにより広い世界で橋渡しをする役目を担いたい、と考えました。
また、ビザスクが持つデータベースも魅力の一つでした。ビザスクはご登録いただいているアドバイザーの方によって成り立っているビジネスですが、そのご登録情報に加えて、日々の案件情報や関連するやり取りによってデータベースが育っていき、次の案件でのマッチングの可能性を広げるというのが、とてもワクワクするポイントでした。

意外と役立つ?大学から前職までの知見

ビザスクに入社してからは「リサーチマネージャー(RM)」として、コンサルティングファームのお客様向けにインタビューのマッチングのためにリサーチを行っています。
リサーチ業務のおおまかな流れは、依頼者の調査要件を理解し、適切なアドバイザーの方をリストアップして、依頼内容を満たすご知見をお持ちかどうかアドバイザーに確認する、というものです。

ここで私は、これまでに経験したことの多くが役に立っているなと感じます。まず、依頼者の調査要件を理解する段階では、調査の内容がとても専門的だったり、抽象的で難しい場合があります。そのようなときに、学生時代や前職で培った「わからないなりに、何がわからないのか整理してたずねる」スキルが役立ちます。また、偶然自分の専門の重なる領域であれば、比較的スムーズに案件を理解できることもあります。
アドバイザーを探す段階では、出版社時代に担当大学の先生の専門を1000人単位で調べていた経験が使えているかもしれません。
さらに、アドバイザーにご知見範囲を確認する段階では、必ずしも依頼者とアドバイザーの前提知識が共通しているとは限らないため、クライアントからの依頼通りの言葉を使って確認をしても齟齬が発生してしまう場合があります。そこで書籍編集における「初学者の視点」を活用して、「この聞き方や単語の使い方で本当にアドバイザーさんに意図が正しく伝わるだろうか?」と考えながら、適切な方を探していきます。

これまでの話から「植田みたいな理工系出版社の人に最適な仕事じゃん、そんな人ほとんどいないよ」と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません!
そうではなくて、誰でも過去の経験が仕事で活用できるシーンがたくさんあるということをお伝えしたかったのです。
チームメンバーのバックグラウンドは本当に多岐にわたっていて、それぞれが個性を活かした仕事の仕方をしています。
お互いが得意を生かして苦手をカバーし合う中で、普段なんでもないと思っていたことでも、人から「あなたはこれが得意だよね」と言われることがあります。そんなときに「昔のあの経験があったから自然にできていたのかなあ」と思えるし、きちんとこれまでの自分の人生が積み重なっていまの仕事につながっているんだということが充実感につながっているなと感じます。
組織にいろいろな人がいて、お互いを認め合う風土があるからこそ実感できるものなので、私はビザスクでの今の環境がとても気に入っています。

所属するS1チームでの年末のオフサイトでの1枚

今後のキャリアについて

ビザスクに入社してから2年と少し、主にリサーチ業務に携わってきました。
実はこれから産休に入る予定があり、変化の早いビザスクでは、復職する頃にはいろいろと環境や仕事の進め方が変わっているのではと予想します。
より進化したデータベースで引き続きリサーチをするのも、別の事業部で新しいお客様を担当するのも魅力的だなと感じています。どこに行ったとしても、これまでの経験が何かしら糧となって頑張れると信じているので、今から復職を見据えてすごくワクワクしています!